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王の剣士 七

<第一部>
〜見えない手〜

第五章『落日』

二十六

 草原へと続くバージェスの街の門を、石畳を鳴らし次々と正規軍の騎馬が駆け抜ける。街を囲む広い水路に掛かった橋を抜け、騎馬達の蹄は緑なす草原に踏み込んだ。
 ワッツは最後に門を抜け、橋を渡った。この橋を落とすべきかと考え、無駄だと、すぐにその考えを放棄する。橋はここだけではなく街を囲む水路に十箇所ほどあり、何より西海の軍にとって橋の有無など無意味だろう。無駄な労力をかける必要は無いし、第一その手数も無い。
(今いる千四百騎程度じゃあな)
 ワッツは抜けて来たばかりの家々の間の通りを、首を廻らせ斜めに振り返った。街壁沿いに設けられた広場を挟み、視線が届く曲がり角まで何者の影も無い。その奥にもまだ西海軍が現れる気配は無かった。
 顔を戻すと前方に、街と正対して正規軍第七大隊の本隊が布陣を広げている。ワッツはアスタロトを左手にしっかりと抱え直し、乗騎を急がせ本隊の中へ駆け入った。布陣の中央に立つウィンスターへと馬を寄せる。
 ワッツが騎馬から降りる間にも、ウィンスターはワッツが抱えたアスタロトの姿へと、眉をひそめ厳しい視線を向けた。
「アスタロト公――」
 ワッツは抱えていたアスタロトを草地に横たえた。
「お怪我があるのか」
「ご無事です。ただ、少々混乱しておられたので」
 陛下の御身について、と言い、ワッツはアスタロトの横に膝をついたまウィンスターを見上げた。ウィンスターの面はちょうど太陽を背負い、暗く沈んでいる。
「陛下が、どうされたと」
『貴様らの王は今日、死んだ』
 ワッツは懐から、黄金の剣を取り出した。剣は美しい刀身の半分以上を失っていながらも、腕にズシリと重く感じられる。
 周囲の兵達が呻き声を押し殺す中、目の前に示されたその剣と、その事が差す意味を、ウィンスターは奥歯で苦いものを噛み締めるように見据えた。ワッツは丁度視線の先にあるウィンスターの拳を見つめ、刀身へ落とした。
「アスタロト公は、陛下がイスに残られたと、そう仰いました」
「――陛下が……」
 ウィンスターが左膝を落とし、右手を延べて黄金の剣の柄に触れる。その手を握り込み、緑の覆う地面を突いた。くぐもった鈍いその音が、ワッツの心をも叩く。
「状況は」
「イスが、浮上してます」
「イス――やはりあれが」
 ウィンスターが呟き、押し黙る。その双眸が険しい光を湛え、バージェスの街の向こうへと向けられる。周囲の兵が動揺を抑えているのは、目を向けずとも感じ取れた。
「西海はバージェス前面の海域に兵を配しています。兵力は少なく見積もっても五千は下らないでしょう――。水人形を出してますが、その数は入れていません。また、西海の現保有兵力は十万とされています。それら全てが動いてもおかしかありません」
 立ち上がるウィンスターを視線で追う。
「静かに見えて、侵攻は始まってます。今いる兵だけが上陸したとしても、この兵数では戦闘になれば不利です。ただ西海にとって陸地は兵力を間引く要因にもなる、まずは一里の控えまで退いて、場合によってはアスタロト公を王都へ一度お戻しすべきかと考えますが――王都は」
「ファルシオン殿下から指示を頂いた。公を補佐し、状況を報告せよとの事だ。確かに貴様も言う通り、水際で衝突すれば我々には圧倒的な不利となり、陸に深く誘い込めば条件は変わるだろうな。だがこのまま漫然と西海の勝手を許す事だけは、認める訳にはいかん」
「ではやはり、一里の控えまで退き、抗戦しつつ援軍を待つのが……」
 王がイスに残っているこの状況でそんな悠長な事を言っていられるのかと、ワッツは口を噤んだ。まず何よりも優先すべきは王の救出ではないのか。イスへ侵入する方法を探る事こそが今優先すべき事ではないのか。
『貴様等の王は』
(有り得ねぇ)
 有り得ない。
 あれは、そう、西海の虚言に過ぎない。折れた黄金の剣を見据え、そう言い聞かせた。
「イスの状況は既に公から殿下へ伝わっている」
「レオ――、近衛師団が動くとは?」
「まだ話は無い。当然詮議はあるだろう」
「――」
 ワッツは厚い手のひらで首の後ろをこすった。滲んだ汗を手のひらに感じる。
(すぐに動かさねぇ理由は何だ)
 西海が兵を動かし、王はイスに残っている。
 もはや不可侵条約は破棄された事は明白だ。そうなれば、やはりまず最優先すべきは王の身の救出であり、その為にはレオアリスの剣は不可欠だった。
 何より、レオアリスはじっとしてはいられないだろう。
 ウィンスターは騎馬の背に手を掛け跨った。
「まずは一里の控えまで退く」
 ワッツは一旦ウィンスターを見つめ、頭を伏せた。
 ウィンスターは当然、王の救出を念頭に置いた上で、それが不可能だと判断したのだろう。
 今は。
 喇叭が高く鳴り響き、大気を裂いた。
「敵、侵攻―― !」
 ワッツは振り返り、バージェスの方向を見た。
 先ほどワッツ達が駆け抜けた街門から、透明な塊がゾロリと這い出してくる。
 ウィンスターが右手を上げた。
 布陣の前三列から一斉に放たれた矢が、西海の使隷達の上に激しい驟雨となって降り注ぐ。
 核を砕かれ崩れ落ちる使隷を乗り越え、次の使隷が身体をもたげる。そのまま四つん這いになって前進を開始した。橋を伝い、街を囲む運河に這い落ちては這い上がり、じわりと草地を侵食する。
 ウィンスターは手綱を引き、バージェスから渡る風を切り裂くように声を張り上げた。
「一里の控えへ退く! 到着後速やかに館前方へ対角翼の陣を整える。後衛は現陣形を保つつ退き、西海が百間内へ詰めた場合は斉射しろ! ガンプ隊は偵察として敵との距離を常に百間を保ち、状況把握と伝達に努めよ!」
 対角翼の陣と聞いて、ワッツにもウィンスターの意図が見えた。
 対角翼は五列横隊の直方体を対角に配置し、双方の左、右翼を陣形の頂点として突き合せる布陣だ。懐に守護対象を置きつつ、敵陣へは頂点を起点に対応する。初手に於いて面的な攻撃、損害を避ける事ができ、状況に応じて錐型の一点攻撃突進、両翼展開による包囲、最後尾からの迅速な撤退に優れるが、自軍を凌ぐ兵数による包囲には弱く、また打撃力に劣った。
(館には転位陣がある。転位陣を維持しつつ、状況によっちゃあ対角横隊の後方から撤退か)
 見る限り西海の進軍速度は遅いが、数でワッツ達を圧倒する。存在そのものを水に依る西海が一里の館がある内陸まで進軍して来るのなら、撤退の判断は早い段階で下るだろう。場合によってはボードヴィルまで西海軍を引きずるかもしれない。
(西海軍は陸地は不利なはずだ。内陸に入れば入るほど、俺達には有利になる――と思うが)
 西海が事を起こした以上、何かあるような気がしてならない。
 そしてまた、ワッツ達はボードヴィルに問題を抱えていた。
(やっぱ一里の控えを中心に対応するしかねぇか)
 とにかくもまずはアスタロトを王都へ戻すまでが堪えどころだ。可能であれば転位陣を通じて、王都から援軍を得る。
 ワッツは騎馬を駆り、後陣へと寄せた。
「陣形を保って退け!」
 整然と、だが速やかに西方第七大隊千四百騎が後退していく。騎馬の踏み鳴らす蹄の轟きが草原に響く。
 彼等の後を追い、光る帯が動くように、西海の使隷が這い進む。
 ワッツは偵察隊の二十騎と共に、西海軍との距離を百間に保ちつつ馬を走らせた。何度目か馬上で振り返って背後を確認し、ふと違和感を覚える。
「遅ェな」
 西海の進軍がだ。陸上という事もあるのかもしれないが、後退を開始したばかりにも関わらず、もうかなりの距離が離れている。あれほど遅ければ、ワッツ達が深く引いて迎撃に十分な布陣を敷く事も可能だ。
 地上への進軍が西海にとって、圧倒的に不利である事を明らかにするような状況だった。
「そんなはずはねェ。何か策を用意してやがるはずだ」
 そう呟いた時だった。
 草原の草が、海岸から波が打ち寄せるように、茎を倒して靡いた。耳慣れない、音律。
 草の波を追って、衝撃が地面から伝わる。
 馬上の身体がぐらりと傾いだ。自分ではなく馬体が傾いだのだとすぐに悟る。
 ワッツは手綱を引いて騎馬を制御しつつ、足元を見て――目を剥いた。
「何……だ」
 先ほどまで青い葉を一本一本伸ばしていた草が、しなだれ泥にまみれている。それらを踏んで駆ける蹄も泥に沈み、沈む度に地面から湿った音を立て水が噴き出した。騎行の速度は明らかに落ちている。
「――」
 湿地帯などこの周辺には無い。そもそもバージェスへ向かう時には地面は乾いていた。
 理由が明確ではないままにワッツは背中を這い登る感覚に従い、声を張った。
「速度を上げろ! 本隊へ追付く!」
 後ろを走る兵士達を振り返り、ワッツは今度は息を呑み、呼吸を止めた。
 相変わらずバージェスの街を取り巻くようにして、西海の使隷が這い進んでくる。ただ違うのは、彼等とワッツ達の間に横たわる草原が――いや、横たわっているはずの草原が、姿を消している事だ。
 目にするのは泥と、表面に張った水が空を映す、茶と青とのまだら。
「――冗談だろう……」
 大地が、泥と化している。
「ワ、ワッツ中将……ッ!」
 悲鳴に近い声に我に返って視線を向けた先で、一騎の騎馬が泥に足を取られ、つんのめるように馬体を倒すのが見えた。
 騎首を巡らせようとした時、斜め前へ走り抜けた別の騎馬がよろめき身体を倒す。咄嗟に手を伸ばし兵士の背中の革帯を掴む。泥の中へ倒れ込む馬の背から、自分の鞍へと引っ張り上げた。
 倒れた馬の身体が足掻きながら、地面にゆっくりと沈み、呑まれて行く。
 馬の嘶きと、兵士の叫び。横倒しになった馬体が泥を掻く音。
 ワッツの騎馬の足元もぬかるみに踏み込んでぐらりと揺れる。ワッツは再び声を張り上げた。
「走り抜けろッ!」
 十間ほど前方で、異変に気付いて引き返して来た後衛の兵士達が、見えない壁を前にしたかのように戸惑いを露わに留まっている。彼等の足元に泥土と草原の境界が見えた。
「あそこか」
 背後はすっかり泥土と化していたが、ほんの十間内陸へ進めば抜けられる。
 泥に脚を取られる乗騎を何とか操り、ワッツは苛立ちの募る速度で緑の境界を目指した。十に満たない騎馬がワッツに続く。残りは泥土に倒れたのか。
 飛竜が欲しいと奥歯を鳴らす。
 緑の境界でたたらを踏んでいた兵士達が、遠くワッツ達の背後を指差し、俄かに騒がしく声を上げた。
「ワッツ中将!」
「何だ……」
 嫌な予感しかしない。ワッツは背後を振り返った。
 妙なものが目に入った。
 今や泥の中に孤立したバージェスから、泥地を蛇行しながら進んでくる――背びれ・・・それ・・はワッツ達が気づいた事を見て取ったかのように、泥の飛沫を立て、勢いを増して迫った。鈍い銀色に光を弾く背びれと銀の鱗の一部が泥の間に覗く。
「……ンだ、ありゃ……」
「中将!」
「皆、急げ!」
「すぐ後ろに……ッ!」
 ワッツの視界の端で、泥が盛り上がり、長い胴体をした生物が跳ね上がった。銀色の鱗に覆われた重そうな身体が弧を描き、広げられた巨大な顎が一番後方にいた兵士に、馬ごと喰らい付く。長さ七間はあろうかという巨体だ。長い胴に短い四本の脚、伸びた尾びれ。鰐と魚の中間のような姿。
 食らいついた馬ごと顎先から泥へ潜り、どおっと泥飛沫が跳ね上がった。
「マルク!」
 再び背びれが泥の海を蛇行する。背びれを追い、陸地から飛来した十数本の矢が泥の上に突き刺さる。
「急げ! 早く!」
「また来るぞ!」
 先行した二騎が泥から草地へと辿り着く。まだを目指しているのは、ワッツを含め四騎だった。泥を切る背びれの音が迫る。ぼこり、と泥から気泡が浮かぶ。
 気泡を追うように巨体が跳ね上がり、次いで泥は短い悲鳴を呑んだ。矢が突き刺さった場所にはもう背びれは無い。
「くそ」
 岸まであと三間というところで、ワッツの騎馬の足元がボコリと気泡を上げた。
「!」
 泥から顎が突き出し、騎馬の前脚に喰らい付く。
 嘶きと共に馬体が倒れかかり、ワッツは抱えていた兵士と共に鞍から放り出された。泥の中に背中から落ちる。一瞬手足が泥を掻いた。
「中将ッ!」
「ッ……無事だ! 岸に近い奴から援護しろ!」
 叫んで何とか起き上がり目の前に落ちた兵士を掴もうとして、支えとなるべき足がずぶりと沈む。
 ふくらはぎの辺りまで浸かっている足が、更に僅かずつ沈んで行くのが判った。
 底が無い感覚が、足の裏から脳天へと伝う。
「マジかよ――急ぐぜ」
 ワッツは左手で兵士の肩を抱え、重い泥の中を一歩一歩進み始めた。一歩毎に身体が沈む。
 あと二間。
 泥は膝の上まで達した。背後では泥を切り泳ぐ音が、嘲笑うように左右へ行き交う。
 あと一間――半間。
 岸から手を伸ばす兵士達へと、兵士を押しやる。自分の身体が腰まで沈んだ。
「ワッツ中将!」
 仲間達に引き上げられながら、兵士は身体をひねってワッツへと手を伸ばした。それを掴もうとして、左のかかとが沈む。伸ばされた手に僅か、届かない。
 斜左後方にいた兵士に背びれが迫り、ばくりと飲み込む音が立つ。
「ゲインッ!」
「ちくしょう!」
「中将! 手を!」
「早く!」
 ワッツは岸を背に叶う限り身体を捻った。
「お前達は退け! いつまたそこも泥地化するか判らねェ!」
「中将ッ!」
 泥を走る背びれを左右へ目で追いかけながら、ワッツは泥に埋もれた腰の辺りへ右手を突っ込み、泥の中で佩びていた剣の柄を探り当てると、引き抜いた。
 蛇行していた背びれがワッツの正面で動きを止める。一瞬後、背びれはワッツ目掛け突進を始めた。
 巨体が泥を割り進む振動で身体が小刻みに揺れる。黙っていても沈んで行く身体をどうにか保ち、ワッツは柄を握り締めた。
 泥は胸の下まで達した。
 銀色の背びれが泥に沈む。
 ワッツは泥を睨み据えた。
 ワッツの正面で、泥から浮かんだ気泡が、弾けた。
 泥が盛り上がり、鼻先が浮かぶ。
 開きかけた上顎を目掛け、肺に息を溜め、ワッツは振り上げた剣を突き立てた。
 剣は銀の鱗を貫き、顎を縫い止めた。
 だがまだ動く。
 怪魚か鰐か、分厚い巨体を捩りながら突進し、衝撃がワッツの胸を突いた。
「ぐ……おッ」
 みしりという音が耳を埋め、息が詰まり、目の前が暗くなる。
 身体が浮き上がり――、硬い地面に叩きつけられる衝撃と、一呼吸後の歓声で視界が戻った。
「――ッ……、てェ、な……ッ」
 抗議の呟きを回復した呼吸と共に吐き出す。
 見ればワッツの身体はすっかり草地に押し上げられ、怪物の巨体も泥から半分草地へと乗り出している。
 鋭い爪が生えた短い前脚が動き、身体を捩る。
 ワッツは身体を跳ね上げ、顎を縫い止めていた剣を掴むと、全体重を乗せて地面へと更に突き刺した。切っ先が固い土を捉える。
 同時に複数の槍が銀色の鱗を貫き、しばらく痙攣していた身体は、やがて動かなくなった。
 ワッツは剣から手を離し、泥で塗装された身体に眉をしかめ、泥土の海を見渡した。
「何人やられた」
「十六名です」
 偵察隊の二十名中、十六名が命を落としたという事実に唇を引き結ぶ。
 改めて眺めれば、泥土はバージェスまでの間を、そのぬらぬらとした表面ですっかり覆っていた。使隷は相も変らずゆっくりとした速度でワッツ達を追って来る。先ほどまで陸地は西海にとって不利であるはずだと、そう考えていたが、今は疑わしかった。
(どこまでこいつを広げられる)
 泥地化する直前、何らかの衝撃が海から奔った。それが関わっているのだろう。
 だが余り悠長に観察する時間は無い。ワッツは視線を切り、同じように泥土を眺めている兵士達を振り返った。
「撤収する。こいつは何らかの術だと思うが、正体が判らねぇ以上ここでの対応は困難だ。万が一範囲が広がる前に本隊に戻る」
 こびりついた泥のせいで余計重くなった身体を新しい騎馬の上に押し上げ、ワッツは手綱を引いた。先ほど怪物の突進を受けた胸部に鈍い痛みを覚え、口をへの字に結ぶ。
「行くぞ」
 蹄が草地を踏む確かな感触を、ワッツは有り難いと思った。
 馬の背から背後を振り返る。泥の向こうに浮かぶバージェスの街の周囲に、白い波に似た光と、蠢く影があった。西海の使隷と――西海軍の本隊だ。
「来やがった」
 やや速度を上げたように思える。今や泥地化した平原は西海の進軍を容易くするだろう。
 となれば一層、泥地化がこの程度で収まるとは考えられなかった。この先、泥の浸食は進むはずだ――それがどこまでか。
 バージェスと一里の館の間は、その名が示す通り、僅か一里の距離しか持たない。
 泥の奥からぼこりと気泡が浮き上がり、飛沫を立てる。湿った擦過音に眼をやれば、いつの間にか先ほどの怪物の巨体は、草地の上に引きずった跡のみを残し、消えていた。泥の表面が揺れている。
 ワッツは視線を戻し、前方に布陣を整え始めている騎馬の動きと、その背後に見える一里の館を睨んだ。






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renewal:2015.06.27
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